麺類を食べるときになぜ音を立てるのか 「空気の味」
麺類を食べるときになぜ音を立てるのか
麺類を食べるときにズルズルと音を立てながら食べることに対して、いろいろな説明がなされていますが、その中でやや正しい説明と考えられるのは「啜ると麺とツユと空気が混在して口中に入る。空気が混在することで、麺やツユの香りが立ち、舌と嗅覚の両方で味わうことができる。啜らない場合と比べて、より美味しく豊かな味を堪能できる」との説明でした。
この点をもうすこし“科学的“に解説してみました。
食品の中には空気を意図的に含ませた食品が沢山あります。よく言われている「ふっくらとしたパン」のように。そのほかにもカステラも中に適当な空気が含まれているのが特徴です。このような食べ物を口に入れるとその中に含まれている空気が微妙に味覚に影響を与えているのですが、通常ではそのようなことを考える人は少ないのです。もし、そんなことはありえないと反論する人に対し、ではカステラを口に入れる前に手で固めて団子のようにして食べてみてください、と聞いてみてください。そうすると“ふんわか“としたカステラの味と団子状にしたカステラとでは味が微妙に違うことが分かるのです。同じようなことは麺類でも言えるのです。つまり、麵汁の中に入っている麺をそのままズルズルと食べるときと、その麺を手で固く丸めて食べた時では同じものでも味に微妙な違いがあるのです。
その他にも、所謂「空気の味」を経験できるのは、ビ-ルをコップに注ぐときにかなり上からコップにビ-ルを注ぐと大きな泡の層が出来るのですが、この泡の部分を飲むと通常の液体の状態でのビ-ルと微妙に味が違うのです。もっとも、このような場合の微妙な味の違いを認識できない人にはその他のいろいろな場合のびみ微妙な味の違いについてのくべつは出来ないかもしれません。
このように麺類を食べるときにズルズルと音を立てることによりかなりの量の空気が麺と一緒に口の中に入り、味覚に微妙な変化をもたらすのです
。
その他にも形によって、食べるときに口の中に入る微妙な空気の量の違いによっても味が微妙に変わるのです。その典型的な例は、スパゲッティなのです。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、このスパゲッティにはその太さによって八種類くらいの異なった製品があるのですが、レストランでは一種類のスパゲッティしか使っていないのが普通です。しかし、家庭でスパゲッティを料理するときにはいろいろな太さのものを買うことによって、自分の味覚に合ったスパゲッティを食べることが出来るのです。なお、スパゲッティの一種に中が空洞になっているスパゲッティがあるのです。これはイタリア語ではフィスキエッテイと呼ばれていて、これを食べるときには音がするのです。これも空気を一緒に口中に入れることにより味が変わるのです。
ですから、外国人になぜ日本では麺類を食べるときに音を立てるのかとの疑問に対してこのような説明をすると理解してもらえるのです。
もっとも、このような食べ方は日本ではそのまま通用しますが、海外では音を立てないで静かに食べることになります。これは習慣の相違ですか、いたしかたがないのです。
その他にもビ-ルをコップにかなり高い所から注ぐと泡がかなり立ちますが、その泡の部分を吸うように飲むと、液状のビ-ルと少し異なった味がするのです。これも、空気による味の影響とも言えるでしょう。
いささか脱線しますが、人前で音を立てるということに関しては日本人がとても出来ないことの一つに、欧米人は鼻をかむ時にやおらハンカチを取り出して、ひとまえでもブッ、と大きな音を出して鼻をかむのです。こればかりは日本人にはできません。いまたに多くの欧米人はハンカチでは鼻をかむのです。汚いですね。