日系人と在外邦人とではその意義が根本的に異なる
海外日系人と在外邦人とではその概念が根本的に異なるのです。
最近の日経新聞 (2024/5/17)によると、日本政府は世界の日系人とのかかわりあいを強めはじめ、外交や国内の労働力不足の補充役として期待しているとのことでした。
しかし、日系人とは戦前に、棄民扱いされて、主として南米に戦前に移民した人たちを意味しているのです。ですから、そのような人たちの現在は、もう二世の状態から、三世、四世の時代に移行して、完全に現地に溶け込んで生活、活動しているのです。
確かに、外見は日本人とはあまり変わらないかもしれませんが、生活様式、生活習慣、ものの考え方、などは現在の日本人とは比較にならないほど大きく変化しているのです。
ですから、そのような人たちは日本人と同じような考え方はほとんど維持していないのです。
もし、本当に外交や国内の労働力不足の補充役を期待するなら、現在海外でいろいろな分野で活躍している在外邦人をその対象にすべきなのです。
つまり、この新聞記事を書いた人や、最近に南米を訪問した岸田首相は日系人と海外在留邦人との区別への認識がゼロであり、たんなる外交発言に過ぎないのです。
したがって、南米での発言は単なるは一時的発想に終わってしまい、何らの進展も見られないのです。
現在の海外在留邦人で現地で活躍している人たちの多くは外国籍を何らかの理由から取得した典型的な日本人が数多く存在するのです。その代表的な例は、アメリカ国籍を取得せざるをえなく、そしてノベル賞を受賞した在米元日本人なのです。つまり、海外在住で日本の国籍を失わされた在外元日本人はいまだに完全な日本人であり、日系人ではないのです。
つまり現在の海外邦人は、理論的には日本の将来に必要とあれば、貢献できる可能性の高い人たちなのです。でも、現在の日本の政治家にはそのような発想はまったくないのです。
すなわち、前記の日経新聞の記事はたんなる外交発言であり、岸田さんが南米訪問時の感謝だけの外交辞令に過ぎないのです。
もっとも、このような新聞記事をまともに読んで、反応して、このようなことを私が書くこと自体、能天気なのかもしれません。
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