日本の外交を外から眺めると
今日のような複雑な国際環境下では政府の政策、大臣や官僚の国際感覚が重要になるのですが、残念ながら海外から日本の国際政治感覚を観察していると、ほとんどそのようなことはゼロに近いのです。
ともかく、国際舞台での日本の行動を見ていると、ほとんど影が薄く、国際会議などでの日本の外交官の存在感はほぼゼロに近く、ましてや、発言などはめったにないのです。
つまり、国際会議などで、日本外交官の発言は皆無にちかく、そのような国際会議でのテレビなどで日本の存在感を認識することは難しく、どこに日本の外交官がいるのかと、探すことの容易な方法は会議者全員の後ろにそれぞれの国旗が並べられていますが、その中に日本の国旗があるかないかを確かめるほうが外交官を見つけるより簡単なのです。
しかし、そのような国際環境を日本にいる日本人が認識することは意外と難しいのです。
このような観点から最近出版された以下の本はこのような国際感覚欠如の日本外交ついて詳しく書かれてありますので、以下の本はぜひ読んでほしいのです。
元外交官、覚悟の書
『日本外交の劣化 再生への道』
が発売即重版の大反響!
☆『日本外交の劣化 再生への道』山上信吾 著
オーストラリア大使時代、中国に敵視され人格攻撃を含むあらゆる妨害と戦った経験を記した『中国「戦狼外交」と闘う』(文春新書)の著者で元外交官の山上信吾さんは、新刊『日本外交の劣化 再生への道』を「外交官としての私の遺書である」と記します。国益を守るため、中国をはじめ強国と対等に渡り合い外交戦略の先頭に立つべき外務官僚や外交官が内向きで事なかれ主義に陥っていることが、どれだけ我々に不利益をもたらしているか、まさに「日本外交の劣化」について、身を賭して警鐘を鳴らしています。
ロビイング能力や体外発信力の決定的不足、外交的対立の局面で最初から勝負を諦める敗北主義、歴史問題での弱腰、永田町・霞が関内での地盤沈下、規律やモラルの低下、無責任体質、内向き志向、そしていびつな人事……著者はこういった「劣化」の現実を、一つ一つ具体的事例を引きながら赤裸々に示します。驚くべきは、その事例のほとんどで、元同僚を実名で挙げ、彼らの成したことの問題点を明らかにしていること。現状を憂う悲壮感と著者の覚悟がひしひしと伝わってきます。
また著者は批判だけに終始せず、課題についての改善案を提示し、日本外交再生への道を指し示します。その点で本書はきわめて建設的といえるでしょう。各能力の強化のために、組織だけでなく個の能力底上げを重視、そのために研修制度や勤務環境、人事制度を改め、あるべき政と官の関係へと近づけていくのです。
この本に書かれてあることはごく当たり前のことですが、それが日本の政府、外交官などが出来ないのは一体なぜなのか……。 その一つに私がいつも思うのは、日本は島国国家だからなのです。
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