アモキシシリンによる小脳梗塞の副作用
副作用症例 抗生物質によると考えられる小脳梗塞並びに全身紅斑
症例
81歳の女性、 BMI 22 特別な過去の疾患歴はない
頭部の 基底細胞腫(basalioma)の治療として局所麻酔にて皮膚の移植手術を受け、術後の感染予防として抗生物質、アモキシシリン・クラブラン酸錠が投与され朝晩にそれぞれ一錠服用されていた。
この予防的抗生物質投与五日目の夕方に突然に床に崩れ落ち、発語不能、起立不能となる状態が突発し、ほぼ同時期に全身にわたる強度の大きな紅斑がかゆみとともにみられるようになった。更に、軽度ながら数分ほどの発声障害により、会話不可能になった。この時点では全身への強烈な皮膚障害に関心が集中していたため、眩暈とか軽度で短時間の発語、起立不能障害には全く注意が向けられなかった。
その時点では全く食欲もなく、立ち上がり、歩行は困難であり、眩暈がかなり残っていた。翌日は日曜のため、二日後には何とか歩けるようになっていたので、手術を担当し、予防目的での抗生物質を処方した医師を受診し、直ちに皮膚科の専門医の治療を受けるように指示され、皮膚科医により皮膚症状に対してモメタゾン・フランカルボン酸軟膏の全身塗布が施行された。
その後、皮膚症状は徐々に回復に向かい、約一週間後には皮膚紅斑はかなり軽度になったが、眩暈が依然として存在し、歩行にはあまり自信がなく、誰かの手助けで歩行は可能であった。その後、歩行障害のような症状は徐々に改善されるようになったが、依然として軽いめまいの症状が存在するので耳鼻咽喉科の専門医を受診したところ、すぐにMRIの検査をするように指示され、病院での検査を受けたところ、新鮮で軽度の左側の小脳梗塞が認められ、経過観察のための入院が勧められたが、その時点でかなり軽症になっていたとの判断から入院の提案は受け入れなかった。
考察
この検査の結果として考えられるのは抗生物質により軽度の小脳梗塞が起こり、小脳梗塞の典型的な症状が起こり、軽度の発語障害、たちくらみ、起立困難、歩行障害などが引きされたと の推測が可能になった。この症例は極めて例外的な副作用かもしれないと考えられた軽度の小脳梗塞の存在である。一般的には抗生物質でたとえ軽微であっても、小脳梗塞が副作用として報告されている例は皆無と考えられるからである。
因みに、「クスリの副作用 小脳梗塞」で検索しても何も出てこないのです。アモキシシリンの副作用欄をみてもそのような副作用の記述は皆無なのです。それは当然で、このような例での観察は素人には無理で、しかも、その副作用が発生した時点での詳細な観察、そしてその後のMRIの検査は殆ど考慮されないからです。
アモキシシリンの副作用を検索すると、しびれ感、めまい、などかあり、また無菌性髄膜炎として意識混濁、などが記載されているが、もしかしたら、極めて例外的に本例のような軽度の小脳梗塞がおこることがあったのかもしれないが、いかんせん、その時点でMRIの検査がなされていなければその原因解明は不可能である。
このような症例、つまり、軽度の小脳梗塞のような副作用は、その副作用が発生した時点に副作用などに関心のある第三者の存在が必要であり、瞬時の観察がなければ、小脳梗塞が軽度であるため、重篤な皮膚障害に注意が向けられて、まず報告されることは皆無に近いのである。
「注釈」 この例は私の妻の例であり、偶然にこれらの症状が発生した時点で私がそばに居たから軽度の小脳梗塞症状の発生を詳細に観察することが出来たのです。もし、このような例が翌日に病院に行っても患者自身が詳細に説明しない限り、医師は軽度の小脳梗塞発生時の変化を知ることは不可能なのです。
追記
本症例の場合、そのごの経過として激烈な皮膚反応は消滅したが、その後軽度の眩暈とか歩行障害が現れるようになり、一年後には歩行補助機を使うようになり、その後の二年間にそのような状態も含めて徐々に高齢化症状が現れ、外出は殆どする意欲がなり、二年後には家の中で転倒し、不幸にも後頭部が障害を受け、大量のの頭部出血が床に見られ、直ちにに入院したのですが、その後一週間の間は昏睡状態で一週間後に亡くなりました。