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2020年4月の記事

2020年4月28日 (火)

コロナウイルス暴発の問題点

コロナウイルス暴発の問題点   

 

コロビの世界的な発生により、各国での対策や患者・死者発生の状況が大きく異なっています。このような場合、なぜそのような状況に関して大差があるのかをある意味では知る必要があるのではないでしょうか。

 

コロビ患者の暴発的とも言える発生に際して、真っ先にその影響を受けるのはそれらの患者治療に追われる医療機関で働いている医師、看護師なのです。ところがあまりにも短時間の間に患者が暴発的に発生し、病院に運ばれてきたときの対応がその後の結果に大きく影響を及ぼすことは当然のことなのです。

 

このような状況下で実際の医療機関の医師が即座に決断しなければならないことはトリアジュTriageという判断なのです。つまり目の前に院内に存在し、従来の治療対策可能以上膨大な数の患者に対して誰を先に治療するかとの判断が必要になり、理論的には重傷、中等症状、軽症の三種に分類して対応しなければならないのです。

 

勿論、このトリアジュという判断は治療の実際が極めて限定されていて患者全員に均一な効果的な治療が施行されればそのような判断は必要なく、全く問題がないのですが、急激に治療対象患者が従来の医療機能をはるかに超えた状況になった場合にはどうしてもこのトリアジュの判断が無意識的に必要になるのです。

 

一般的にこのトリアジュという概念の適応は極めて例外の例外的な医療判断になるのです。この概念の典型的な応用は戦時下に於ける負傷兵士の治療にしばしば適用され、極めて重症で瀕死状態にある負傷兵士の治療よりも助けられる可能性の高い兵士を先に治療処置をせざるを得ない場合があるのです。

 

このように、このトリアジュという概念の適用に際しては、担当医師の人間性、倫理観、宗教観などによっても大きく影響されるのですが、ましてや戦時下と平静な現時点とではその判断は大きく異なるのは致し方ないのです。

 

とくに、現在のような平時の生活環境下に置いての突然な、しかも突然な膨大な数の重症患者の治療に関しては倫理的、宗教的などの観点からまず重症患者の治療が先になるのが当たり前なのです。なお、このような突然の環境、そしてその結果に関連して、ICUのような特殊な医療環境の数を人口あたりに比較換算して、例えば、イタリアなどでのその比率がかなり低いので、爆発的な患者か゛発生したとの解説をしている大学の先生がいますが、それは全くの的外れ的な判断であり、結果論なのです。

 

しかし、今回のコロビの爆発的な発生、しかも最悪なのはその致死的影響が極めて重大な場合にはこのようなトリアジュという概念は無意識的に現場の医師に瞬時に求められるのです。

 

このような環境を考慮して、現在のコロビの世界的な爆発状態、特に現時点での欧州の状況を考察した時、まず考えられるのはなぜイタリアやスペインでの患者発生、死亡者数が極端に大きくなっているのかと言うことなのです。このトリアジュという概念の無意識的施行の判断にそれぞれの医師の宗教観、倫理観などにより大きく影響されるのは当然なことなのです。

 

ましてや、戦時下とは異なり平静な社会に突如として発生した暴発的な疾患対策に際してはトリアジュの概念が無視され、人間性が第一になるのは当然なことなのです。

 

つまり、結果的には、イタリアとかスペインなどの宗教的信念のより強い国ではコロビ患者の治療の対処はまず重篤患者になるのは当然のことなのです。このような環境をトリアジュという概念から考察すると、ラテン系の宗教概念の強い国での爆発的な死亡率も十分理解できるのではないでしょうか。
ある人が、「新型コロナの感染による死者数が世界2位(4月26日時点)のイタリアでは、より多くの人の命を救うために、高齢を理由にICUを利用させないガイドラインが策定されています。実際、75歳以上や60歳以上はICUに入れないとしている地域もあります。つまり、若い世代に優先的に使うようにしているのです」と書いていましたが、そのようなガイドラインは存在しません。イタリアではそれぞれの病院の事情によってもその対応はかなり異なり、また、忘れてはならないことは、重篤な患者自身が若い人を先に治療してくれと意思表示することもあるのです。
最悪期の三月でも101才のイタリア人男性Alberto Belucciや104才のイタリア人女性 Ada Zanussoがコロビ感染で重症になっていたのが治療により退院したことが報道されていました。このようなことからもイタリア人は基本的には重傷者をも区別せすせ治療していたことがうかがわれるのです。つまり、助かる見込みの少ない重症者は治療からはずとのガイドラインが存在するとの説は全く根拠のないことなのです。

 

したがって、現在のイタリアのようなコロビ感染暴発状態を考慮したらととてもトリアジュの概念を考察したり、言及することは不可能なのです。何しろ、イタリアのテレビの番組に頻繁に「医師が500人不足していますのでボランティアの意思ある医師は至急登録してください」とか「看護師が100人必要ですので、至急ボランティアの意思のある人は応募してください」とのテレップが現れることはまさに緊急事態そのものを訴えているのですが、日本に居てはそのような緊迫感は誰も理解できないのかもしれません。

 

最近のニュヨクでの暴発状態はまさに悲惨そのもので、とても理解できないのではないでしょうか。

 

追記 (2020 Dec)

しかし、最近のようにコロビ・バンデミ第三波が猛烈を極めているような状態ではイタリアでは90才以上の患者は病院が引き受けてくれないとのことです。

 

 

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