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2016年8月の記事

2016年8月14日 (日)

薬には「従作用」もある


よく言われていることに 「薬には、病気の治療目的に沿う「主作用」と、目的に沿わない「副作用」があります」があります。

確かにこれは常識でもあり、概念的には正しいのです。また薬理学などでもそのような概念しかありません。

つまり、これ以外に「従作用」という概念があるのです。つまり、薬が体内に入るといろいろな作用が現れてきますが、その作用は上記のように主作用、副作用の二通りであると考えるのが普通で、どの教科書にもそのような記載になって居ます。

ところがこれら以外にもう一つの作用があるのです。それはある薬の作用そのもので、その薬を服用すると必ず現れるのですが、その作用は治療目的には該当しないのです。例えば、ある抗生物質を服用するとほとんど100%、苦み感を経験するのですが、これは副作用という従来の概念には該当しないのです。なぜならば副作用は基本的には起こらないことが望ましいのですが、場合によっては治療目的以外のある特定な作用が現れ事があります。それが副作用として説明されています。つまり、原則的には副作用は起こらないのが望ましいのですが、特定の場合には治療目的以外の作用が現れるのを副作用と呼んでいます。従って、基本的にはその発生頻度は数パセントであり、絶対に百パセントにはならないのです。

ところが、前期のような抗生物質の苦み感は百パセント発生するのですが、該当する添付文書にはその苦み感は副作用の欄に記載があるのです。

このような場合の苦み感は副作用でもなく、また主作用でもないので、「従作用」と呼ぶべきなのです。

なお、基本的には主作用の効果発生頻度は百パセントであるべきなのですが、薬によっては六十パセントぐらいの場合しかないのもあるのですが、このことは意外と知られていないようです。つまり、薬を服用すれば該当する疾患が治る割合はほぼ百パセントと多くの人は早合点しまうのです。

もっとも、このような意味での「従作用」はあまり多くはないと考えられます。この概念を演繹するとある薬の主作用に全く疾患領域の異なる薬効がある場合があります。例えば、解熱鎮痛剤のアスピリンには、血栓予防効果があるので、このような場合にはそれぞれの効用は従作用とは呼べないのです。つまり、いずれの場合にも治療目的が明確になって居るからです。

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