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2014年11月の記事

2014年11月27日 (木)

間違った医薬品情報 (1)

間違った医薬品情報 (1)

湿布剤使用に関する間違った情報

最近の某紙に以下のような記載がありました。
『肩や腰が痛い。関節をひねった。筋肉痛でつらい……。そんなとき、寝る前にとりあえず湿布薬を貼って様子をみるなんて人も多いはず。この行為、実は危ない。患部に手軽にペタリと貼り付ける湿布薬、誰しも使った経験があるだろう。薬局に行けば多種多様なタイプが市販されているし、通っている病院で「腰が痛い」といえば、簡単に処方してくれる。そのため、「薬」だと意識することなく、「痛いからとりあえず貼っておこう」などと安易に使っている人は多い。 だが、湿布薬はれっきとした「薬」で、かなり強力な有効成分が含まれているタイプもある。

その分、強い副作用があるから甘く見てはいけないのだ。 日本薬剤師会常務理事で医学博士の藤原英憲氏は言う。「湿布薬には、インドメタシンやジクロフェナクナトリウムといった強力な痛み止めの成分が含まれています。強い副作用で知られるアスピリンやイブプロフェンなどの鎮痛剤と同じもの。湿布薬を貼り付けた皮膚から血液中に取り込まれ、全身に回ります。つまり、飲み薬を飲んだのと同じ状態になるのです。はがき大の湿布薬を10枚貼ると、鎮痛成分の血中濃度が1日分の飲み薬と同じ程度になるというデータもあります。当然、副作用も飲み薬と同程度に注意する必要があるのです。』 しかもこの解説の表題が「危険な副作用がこんなに…湿布を貼ったまま寝てはいけない」となっているのです。


このような情報での問題点は「だから夜には湿布薬を貼って寝てはいけない」「湿布薬を貼り付けた皮膚から血液中に取り込まれ、全身に回ります。つまり、飲み薬を飲んだのと同じ状態になる」にあります。
湿布薬を通常の使用法で用いられた場合には夜であろうが昼であろうがその影響には全く変わりが無いので、夜に寝るときには湿布薬を使うなということはまったく意味の無いこと。

それから湿布薬と飲み薬とは全く同じ状態になる、というのはいささか飛躍的な解説なのです。例えば、ジクロフェナックを鎮痛剤として内服するには通常は一回に25-50mg、外用テープ剤は一枚当たり15-30mgのジクロフェナックを含有しているのです。ここで問題なのは内服薬の場合には服用後に血中濃度が2-3時間で最高濃度に達するのですが、添付剤ではその吸収は極めて緩慢であり、とても錠剤のような血中濃度を速やかに期待することは不可能なのです。

さらに問題なのは外用テープ剤の目的は局所的な痛みを緩和する目的に開発されたものであり、痛みの局所への有効成分の浸透が期待できるのですが、内服薬では全身に有効成分が血液を通して分布され、肝心の主訴局所には極めて微量の有効成分しか到達しないのです。したがって、内服薬で主訴局所への薬効を期待するには通常の一回量では無理があるのです。つまり、外用テープ剤の目的は実際の患部に直接有効成分が浸透することをも期待できるのです。しかも外用テープ剤の場合にはその皮下への浸透は徐々になり、有効成分の主訴局所への到達も徐々になのです。

したがって、「つまり、飲み薬を飲んだのと同じ状態になる」の表現は極めて誤解をもたらす可能性が高いのです。外用テープ剤の通常の使用ではその有効成分の血中濃度ならびに主訴局所では「飲み薬を飲んだのと同じ状態になる」のではないのです。

なお、これらの外用テプ剤の服作用は必ずしも有効成分に起因するものとは限らないのです。このような外用剤の成分の中には有効成分以外にもいろいろな添加物が加えられておりそれらの添加物による副作用もあるのです。ですから、ひとつの有効成分、たとえばジクロフェナック製剤でも製造会社の異なるものを使うと意外に何らの副作用を起こさないこともあるのです。もちろんその逆もあり、今まで使っていた製品を他の会社のものに変えたら副作用が起こることもあるのです。

外用剤による副作用の解説ではこのような添加物による副作用についての解説が殆ど無いのはそのような経験をしたことがない先生が書いているからです。

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