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2012年10月の記事

2012年10月30日 (火)

海外から見た尖閣諸島問題

海外から見た尖閣諸島問題

尖閣諸島問題で中国が強硬な攻勢に出たり、中国内の反日デモを暗に扇動、容認したりして、その状況が欧州でもテレビなどにも報道されていました。。またこの問題での国連の中国の発言では日本は尖閣諸島を盗んだとの発言もありました。しかし、この問題に関しては背景情報の全くない海外の人にとっては突然発生した日中間の国境問題としか捉えられていません。したがって、テレビで報道されるのは中国でのデモばかり、つまり中国全土における反日デモ、反日暴動のみしか報道されておらず、日本の立場についての解説は殆どありませんでした。

そのため、どちらが正論なのかとの判断は海外の一般の人には不可能なのです。それは日本が海外に向けてこの問題に対して正しい情報を全く発信していないので、中国側の情報、あるいは中国国内の反日デモだけをもとにすればあたかも日本が不正に尖閣諸島をある日突然占有しているものとも理解されかねません。この際、なぜ中国が七十年代以降になって突然に尖閣諸島を自国領だと言い始めたのかとの理由をもっと海外に向けて積極的に発信すべきだと思います。しかし、日本政府はこの問題を歴史的な見地から当然ながら日本の領土であると、歴史的事実ばかりを国内的には説明していますが、なぜ七十年代以降になって中国が突然騒ぎ出したのかとの説明、解説は海外に対してはまったくなされていないのはなぜなのでしょうか。

現在のような日本政府の対応はいままで日本領土であるので問題は何もなく、したがって何も反論しなくとも当然のことと考えていても、海外の人たちには日本の立場の情報が全く不足しているので、悪いのは日本とも受け止められかねないのです。しかし、残念ながらこのような印象、感覚は日本に居る人にはほとんど理解されていません。つまり、国際的な見地からこの問題を判断すると、悪いのは日本であるとの先入観を持たせる可能性が高いのです。しかも、現在の欧州は中国無しには経済的にも問題があるため、この問題にはほとんど立ち入りたくないのです。

別な観点から判断すると、この問題に関しては日本の対外情報作戦では完全に中国共産党政府に負けているのです。もっとも島国人間の日本の政治家にはそのような海外の反応などは全く関心が無いのかもしれません。


2012年10月27日 (土)

副作用自発報告制度の崩壊 (6) [因果関係評価が無視されるとどうなるか]

副作用自発報告制度の崩壊 (6) [因果関係評価が無視されるとどうなるか]
副作用報告制度崩壊の結果がどうなるか、それは副作用情報の質の劣悪化、因果関係評価の無視が挙げられる。

ここで問題なのは、副作用報告と有害事象報告との混同、混在があまり意識されていない。日本ではいまだに患者からの副作用報告はほとんどないので、患者からの副作用報告の評価は問題にならない。しかし、医療関係者は当然のことながら副作用を企業などに報告するが、企業の多くは「有害事象」を集めているとの自負がある。もし本当に有害事象を集めているのだとすると、そこには因果関係評価がなされ、副作用かどうかの判断がされ、必要に応じて詳細なデタを集め、最終的には行政に報告するかどうかを決めなければならない。このことは、もし企業が本当に「有害事象」をしゅうしゅうしていると自負するならば当然の結果として因果関係評価も重視されなければならないが、現実はその反対で有害事象の因果関係評価はますます軽視されつつある。その結果、有害事象の評価がなされなければ副作用かどうかも不明となり、当然の結果としてそのような有害事象報告はどこかに埋もれてしまう可能性がある。

ところが、この可能性が現実のものとなりそこが脚光をあびる出来事が最近報道されている。
たとえば、スイスのロッシュ社は過去に報告されてきた有害事象の個別因果関係評価はまったくなされず、社内的にも安全性が関与した因果関係評価は不要とされてきている。あるとき、ロッシュ社の安全性情報担当者に因果関係評価はどのようにしていますか、と聞いたとき、いまどきそのような因果関係評価なぞは誰もやっていませんよ、と一笑に付されたことがありました。

その結果、アメリカでロッシュ社が1997年から販売促進の目的で患者支援プログラムが実施され、抗がん剤をも含む特定の医薬品を健康保険の無い人たちにも容易に使えるようなプログラムにより報告されてきた有害事象症例はまったく評価されず、したがって行政に報告すべきかどうかの検討はまったくなされていなかった。

その結果明らかになったことは、2012年までに80 000の有害事象症例がそれぞれの因果関係が評価されず、さらに当局に報告すべきかどうかの検討がされていなかった。これらの症例のうち、15 161の死亡例があり、それらの死亡例も副作用によるのかどうかとの因果関係評価がなされていなかったとされている。このように万単位の症例がそのまま放置されていたことはまさに驚きです。

この問題はすでにFDAによって指摘され、さらに2012年の6月にEUの欧州医薬品審査庁(EMA)もロッシュ社の安全性報告の欠陥を指摘し、調査すべきであることが報じられ、この10月には法律違反が確定されたので、詳細な審査が行われることになっているとのことである。この場合は行政の査察が入って初めて明らかになったことであり、このような傾向はむしろ稀なものと捉えることは非現実的なものになりつつあるのかも知れない。(Reuters ct 23 2012)

追記(2012 Oct 30)
この内容とは直接関係ないのですが、ロッシュ社はタミフルの第3相臨床試験のデータの60%を公開していないとされています。タミフルによって何億ポンドもの利益を享受したロシュ社が、なぜ、患者と医師に、全臨床試験データへのアクセスをさせないのか、まさに謎です。
このことは2012年10月29日、英国の新聞「タイムズ」が「製薬企業はクリーンにならねば」
(Drug companies must come clean)と題する「臨床試験データの公開を求める」とのきじがあり、また、英国医師会雑誌(BMJ)が同日、臨床試験情報の公開を求めるキャンペーンを開始しました。

2012年10月16日 (火)

医薬品情報専門薬剤師認定制度と医薬品情報(*) 専門薬剤師制度の再検討

・医薬品情報専門薬剤師認定制度と医薬品情報

最近になって薬剤師の専門性認定制度が異なった学会などの提唱により発足しています。たとえば、がん専門薬剤師、医薬品情報専門薬剤師などがすでに誕生しているのです。そのほかにも、調べると実にいろいろな認定薬剤師が存在するのです。

たとえば、研修認定薬剤師(日本薬剤師研修センター)、 認定実務実習指導薬剤師(日本薬剤師研修センター)、 がん薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会)、 感染制御認定薬剤師(日本病院薬剤師会)、 精神科薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会認定)、 HIV感染症薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会認定)、 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会認定)、 漢方薬・生薬認定薬剤師(日本薬剤師研修センターと日本生薬学会)、 緩和薬物療法認定薬剤師(日本緩和医療薬学会認定) 、プライマリ・ケア認定薬剤師(一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会認定)、 認定指導薬剤師(特定非営利活動法人日本禁煙学会)、 在宅療養支援薬剤師(一般社団法人在宅療養支援薬局研究会認定)、 スポーツファーマシスト(日本アンチ・ドーピング機構が日本薬剤師会と協力)、 救急認定薬剤師(日本臨床救急医学会認定)、 抗菌化学療法認定薬剤師(日本化学療法学会認定),小児薬認定薬剤師(日本小児臨床薬理学会、日本薬剤師研修センタ- )などがあります。このような認定薬剤師以外に制度薬剤師、つまり学校薬剤師も存在します。本当に驚くほどいろいろな認定制度があるものです。

たしかに、このように細分化された制度そのものは必ずしも悪くはないと思うのですが、でも本当にそのような細分化された資格をわざわざ意識的に導入する必要があるのでしょうか。つまり、そのような資格制度がどんどん拡がれば薬局制度と同じで、一般薬局、調剤薬局、保険薬局、調剤専門薬局のように細分化されかねないと思います。そうなると、上記の認定薬剤師以外でも、一般薬剤師、調剤薬剤師、薬局薬剤師、企業薬剤師、産業薬剤師、安全性情報薬剤師、環境衛生薬剤師、公衆衛生薬剤師、産業薬剤師、教育薬剤師、医療薬剤師、臨床薬剤師、検疫薬剤師、法務薬剤師、訴訟薬剤師などなど今後いろいろな薬剤師の資格制度化が考えられます。もっとも、資格と言っても認定と制度の区別もあります。

さらに問題と考えられるのはそれぞれの専門知識はどこから得られるのでしょうか。たとえば医薬品情報専門薬剤師の場合、基盤となる肝心のもろもろの医薬品情報はどこから入手し、また誰がそのような詳細情報を創って、提供するのでしょうか。まさか、それぞれの専門化された薬剤師が独自にいろいろな情報、データを個人の努力で集大成し創造していくのでしょうか。

医薬品情報の場合には、実際は製薬企業が作成しているいろいろな情報、データを100%活用するほかは無いと思うのです。つまり、医薬品情報専門薬剤師が必要としている情報、データの多くは企業に依存するのではないでしょうか。そのような意味では企業が公開している製品情報はごく表面的な内容のものばかりなのです。まさか、それぞれの個人としての医薬品情報専門薬剤師一人ひとりの努力により、いろいろな有用情報、データを創りあげていくのでしょうか。

さらに今後ますます重要視される個人指向医療の専門知識をどのようにして入手していくのでしょうか。もし、既存の医薬品情報、データのみを念頭に置いた医薬品情報だとするとこのように専門化された認定資格はあまり意味が無いようにも思えるのです。今後は企業もこのような専門化された薬剤師のニーズに叶った医薬品情報、最終的には医薬・医療情報を積極的に収集、大成し、それぞれの専門薬剤師に提供すべきであり、たんに企業のMRだけを念頭に置いた情報・データの収集だけではなくもっと広範囲なものを積極的に収集し医療関係者に提供すべきである。

つまり、肝心のそれぞれの専門知識はどのようにして創られたものを考えているかを再考する必要があるかもしれません。上記の医療関係分野ではそれぞれの専門領域の情報、データを基にしていることになります。その目的のためにそれぞれの認定学会がいろいろな情報を提供していることになります。まぁ、医師にもそれぞれの専門分野があるので、似たような発想から薬剤師にも専門色を付けたのかもしれません。そうなると前記以外の認定薬剤師として産婦人科薬剤師、外科薬剤師、麻酔薬剤師、皮膚科薬剤師、臨床検査薬剤師、歯科薬剤師、などの認定ないし制度薬剤師も必要になることになります。

いずれにしても、こと医薬品情報専門薬剤師に関しては、このブログにも書きましたように、今後は医薬品情報(Drug Information)ではなく医薬・医療情報(Medical Information)が必要になると考えれば、むしろ医療情報専門薬剤師制度と名前を変えるべきかもしれません。

その目的のためにも学会などが音頭をとって安全性情報も含めて医療情報の基本は個別症例にあるとの観点から、どのようにして、どのような個別症例報告情報を収集し、付加価値情報を創るかということに専念してはどうだろうか。

追加 (2013.03-30)
最近の報道によると新しい専門医制度が議論の的となり、従来の学会認定にかわり、専門医養成制度を:検討しているとか。現在ではそれぞれの学会が認定した専門医が80種類近くあるのを一定の共通した基準で認定医をせっていすることが検討されることになる。
このことは現在のようにいろいろな学会がそれぞれの基準で認定している専門薬剤師にも適用されるべきではなかろうか。

2012年10月15日 (月)

無料の医薬英語添削講座

私がもっているMLのひとつに医薬関連の英語論文の翻訳の解説があります。このMLに毎回あまり長くないいろいろな英語論文の抄録を取り上げ、会員の皆さんに提示し、皆さんからの翻訳の提示をしてもらい、寄せられた複数の翻訳を全体的に考察し、いろいろと解説しているのです。
この講座は無料ですが、MLに登録する必要があります。

www.freeml.com/medtranslation

この講座の特徴は書かれてある英語を単に日本語に置き換えるのではなく、なぜここではその表現が使われているのかとの思考経路を重点的に解説しています。たとえば、relationshipと associationとの違いどうなっているのか、あるいはnot importantと irrelevantの違いはどのように説明できるのか、などの解説を中心にしています。

現在このMLにはいろいろな分野のひとたち400人ほどのひとが参加されています。

2012年10月10日 (水)

無料の電子書籍ライブラリ-

現在のように毎日いろいろな本が出版されている社会では購入した本の置き場所にもこまることがあります。そのためにも、最近では電子版の本が利用されるようになっています。もっとも、この電子版の本は紙の媒体として出版された従前の本をジギタル化したもので、最近ではその電子版の本を購入することもできるようになっています。

一方、過去に出版した本とか、あまり売れ行きが良くない本は出版社はジギタル化した電子版は作りません。したがって、出版されたすべての本が電子化されるわけではありません。しかし、あまり売れないまま在庫になっていても誰の目にも触れない状態にしておくのは意味がありませんし、もったいないと思うのです。

それで私は過去に出版した本を電子版にして無料公開できる電子書籍ライブラリ-に載せています。したがって、このライブラリを覗けばいろいろな電子版書籍が無料で読むことができるのです。ただ、現在でも少しずつ売れている本を電子版にして無料公開してしまうと、本来の紙媒体の本が売れなくなる可能性があるので、そのような本は当分は電子化を見送ることになります。つまり、過去に出版されても、時間がたって絶版になったり、あるいは増刷りの可能性がまったくないような本、あるいは自費出版して売れ残ってしまったような本などはそのままどこかにうずもれてしまうのはもったいないと思うのです。そのような本をPDFに変換して電子版にすれば、プレゼントにするのも簡単になります。

そのような電子版を作るには紙の媒体の本をスキャンしてPDF版にするのですが、素人にはなかなかきれいにできません。しかし、それを専門にする業者がいて、しかもきわめて低価でやってくれるのです。なにしろ一冊の本をPDF版にしてもらっても数百円で済むのです。
: http://www4.gigafile.nu/v3/?15c707d9d8eb3d27466d11b117392ff1

以下のサイトが無料電子版ライブラリ-です。私の本もこの中に数冊収納されています。ノンフィクションと医学薬学の項の中に入っています。

http://www.ipad-zine.com/g/4/

私の架空発明(15) カメラに撮影場所のデ-タを記録

現在のデジカメには撮影日のデ-タが自動的に撮った写真に記録されますが、どこの場所で取ったのかとの記録を残すことはいまだできていないと思います。

観光などでいろいろなところを見て廻り、たくさんの写真を撮ると必ずしもどこの場所で撮ったのかわからなくなることもあります。そのためには撮った写真に日付けが自動的に記録されるように、場所名をも記録できるような装置が内蔵してあればきわめて便利だと思うのです。

この情報記録装置は音声入力できることが大切です。音声入力であれば一瞬にして記録できるので、携帯のような入力装置よりも簡単になり、また時間もかかりません。もちろん、その入力機能には容量制限があるので、簡単な地名と名前くらいしか入力できないのは当然ですが、それでもなにも記録されないよりは便利だと思います。

たとえば、日光に観光に出かけて、華厳の滝の写真を撮り、一言「華厳の滝」とデジカメに話しかければ、その場面を撮った写真に「ケゴンノタキ」と記録されるのです。もっとも、できれはカタカナ記録よりも漢字交じり記録のほうが便利ですが、そうなるとそのような記録装置が大きくなるかもしれません。

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