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2012年8月の記事

2012年8月18日 (土)

海外居住日本人の国籍剥奪の実態 (****) 二重国籍容認署名運動の問題点

いままで、このブログは「国籍変更は大変なことなのです」との表題で海外在住日本人の国籍に関係したいろいろな問題を提起しているのですが、日本に居て海外の滞在経験が全くない日本人にはこのブログの内容が支離滅裂であるとの理解があるようなので今回からこの表題を「海外居住日本人の国籍剥奪の実態」といささかセンセイショなるものに変えました。

  今回のロンドンオリンピック選手に関連して国籍変更、二重国籍に言及した記事がかなりありました。例えば、カンボジャ国籍を取った猫ひろしさん、日本と英国の二つの国籍をもつディーン元気選手、二つの国籍を持つ柔道のフィリピン五輪代表となった保科知彦さんなどなど。その逆に日本国籍を取得した外国のスポーツ選手なども報じられています。

しかし、これら一連の新聞記事のなかでは二重国籍の違法性には全く触れられていません。おそらくほとんどの日本人は国籍法の持つ意味を理解していないと思います。なぜならば、日本で生まれ、日本で育って、ずっと日本に住んでいる人には国籍法は全く関係がない法律だからです。つまり、日本人であることを認識する機会はほとんどなく、海外旅行の時に旅券を手にすることが、日本人であることを再認識する唯一の機会かもしれません。

つまり、国籍法という法律は日本人が日本に住んでいる限りはまったく無縁の法律なのです。したがつて、今回のように国籍に関する新聞記事を読んだだけでは、日本人が単にオンリンピックに出場する目的だけで、いとも簡単に外国籍を取得できるんだなくらいしか理解されていにいのかもしれません。しかし、日本人が一旦自らの意思で外国籍を取得した場合には日本国籍を消滅させられることが国籍法で定められているのです。

いずれにしても、日本人の二重国籍所持は法律上は出来ず、スポーツ活動などの目的で外国籍または日本国籍を取得すると、元の国籍をそのまま維持できなくなることが現在の国籍法を杓子定規に解釈するとそうなるのです。その結果、もし日本人が外国籍を取得してそのまま従来通りに日本では生活できなくなるのです。その結果、理論的には外国人登録証明書(最近は在留カードに切り替え)を常時携帯しなければならず、また選挙権もなくり、国民年金の対象にもならず、住民票からの除籍、などなどその他いろいろな不便が生じるのです。もっとも、日本に居住している限りにおいてはそのような外国籍を同時に所持していても、その事実が公に問題になる機会は全くないのです。

たとえば、猫さんのように日本人が外国籍を取得し、その結果、日本国籍が自動的に失われ、もしそのまま日本に居住していると、前記のようないろいろな法律上の不便が生じるのですが、猫さんにはそのようなことはないようです。つまり、そのような人たちは国籍法の観点からは日本に違法滞在していることになるのです。しかし、現実には日本人が外国籍を意図的に取得し、日本国籍放棄の手続きをしなくとも国籍法による罰則はなにもないのです。いずれにしても、現在の国籍法はザル法であり、全く無視されている典型例かもしれません。

したがって、今回話題となった猫ひろしさんはカンボジャ国籍を取得しても日本に何らの支障もなく従来通りの生活をしていることを考えれば、彼は国籍法を全く無視しながらも全く問題なく生活していることになります。

  しかし、この国籍法を海外在留邦人の立場から解釈すると別な問題が派生するのです。海外で日本人が日本国籍を維持しながら居住、ないし定住している場合には当然のことながら滞在国では外国人扱いになり、いろいろな制約が存在します。もっとも、国よっては二重国籍を認めているところもありますが、たとえそのような国に居住していても、その国の国籍を何らかの理由で自主的に取得すると日本の国籍法に従って、理論的には日本国籍を放棄しなければならないのです。

しかし、通常の環境下では国籍法を無視して二重国籍を所持している海外在住の日本人は何十万の数になり、法務省も全くそれらの違法行為に対しては関心がなく、なんらの対策も講じていません。関心がないというより、そのような対策は全く施行していませんとの法務大臣の国会での談話があるくらいなのです。今回のオリンピックに関連した国籍取得記事があれほど多く見られても、法務省の見解記事はひとつも見当たりません。

  いっぽう、最近では海外の多くの国が二重国籍を容認していますが、日本はいまだにかたくなに二重国籍所持を禁止続けているのです。海外居住の日本人が外国籍を取得しても、日本国籍を放棄することはよほどのことがない限り自発的には行われていません。海外に居住すると日本人のアイデンテティ意識は日本に居住している日本人以上にに強くなるのです。したがって、海外に居住している日本人が二重国籍容認署名運動をしているのも海外居住日本人にはよく理解できるのですが、日本国内ではこの二重国籍容認署名活動は殆ど無視されています。しかも、場合によってはそれに反対する人がかなり多く、またそのことに関した本まで出版されています。

  その大きな理由の一つに日本に居住してる外国人が日本国籍をも取得することを恐れている国会議員がかなり多いとのことです。つまり、国籍法を改正して、二重国籍を認めれば日本在住の外国人が日本国籍をも取得し、参政権を利用して日本が乗っ取られてしまうとまことしやかに危惧しているとされています。ごく少数(日本人の人口に比べて)の在日外国人がたとえ国政に参加することがてせきても、それにより日本の国益がそんなに簡単に害されるほど日本の国情は脆弱なのでしょうか。さらに、今日のような国際環境下では世界的傾向は二重国籍容認にあり、二重国籍制度導入反対はあまり説得性のないものです。さらに、二重国籍反対論者は国籍法が改正されれば誰でも無条件で日本の国籍も得られるものと勘違いをしています。

かりにに重国籍を認めるような国籍法が改正されても、日本の国籍を取得するには審査があるのです。したがって、たとえば中国人が日本の国籍取得を申請しても、詳細に検討した結果、日本国籍を与えることを認めないこともできるのです。もし、二重国籍制度反対者が危惧するように日本が日本国籍を取得した中国人に乗っ取られてしまうと考えているのなら、もう当然日本は中国に乗っ取られているはずなのです。つまり、多くの中国人を日本に送り込んで、日本に帰化させればその目的を達成することが可能なのです。なにも日本国籍と中国国籍の両方を維持しなくとも問題はないのです。日本国籍を取得して、日本が中国の植民地になった時点で、もとの中国籍に復帰すれば済むことなのです。しかし現実には大都会の新築マンションがどんどん中国人に買われていることに対してはそのような二重国籍反対者はこの現実には全く関心がないのです。

  つまり、外国人に二重国籍を認めて参政権を与えると国政に影響を及ぼす可能性があること、その為外国人に日本での参政権を与える場合にはまず日本への忠誠の証としてやはり日本に帰化してからにしてほしい等の理由が挙げられているのです。もしそのような参政権を日本で行使したいのならば日本の国籍を取得し日本に帰化するのが本筋との論調が二重国籍反対論者によってなされています。確かに在日永住外国人が日本の国籍を取得すれば参政権問題は自動的解決することになるので、ある意味ではそのような反対論者の意見はある程度の説得力があるように捉えられます。しかし、日本に帰化しなさいということは多くの場合、それら外国人の母国での国籍を放棄することが現在の日本の国籍法で求められているということを忘れてはならない。しかも、この議論はもし海外に居住している日本人が外国籍を取得したら、日本人であることを捨てなさいと間接的に宣言していることにもなることを全く理解していないのです。このような議論には海外居住日本人のことは全く無視されているのです。つまり、日本の政治家には海外在住日本人のことは全く眼中にはないのです。

今日のような国際社会で、日本に居住している外国人をあくまでも外国人扱いにしている考えは過去の遺物であることを理解すべきです。現代のような国際的なグローパル時代の国籍とはどのような意義があるのか、この際改めて大乗的な見地から議論できないものだろうか。また、海外でいろいろな分野で活躍している多くの日本人に対して日本人を捨てなさいということを間接的に強制していることは日本にとっても大きなマイナスなのです。もし。原則としての二重国籍容認が難しいのなら、本来の日本人が海外で外国籍を何らかの意思、目的で取得した場合には例外としてそのまま日本国籍を保持出来るようにすれは国内の二重国籍反対論者も納得できるのではないでしょうか。

いずれにしても日本の国籍法はザル法の典型例であり、公然と私は二重国籍をもっていますと公言しても誰からも文句は言われないのです。したがって、「二重国籍詩人 野口米次郎」といった本が出版されるくらいですから。、日本は違法二重国籍者天国かも知れません。つまり、現在の国籍法では重国籍所持者に対して国籍選択の「催告を法務大臣がすることが出来る」と条文には謳われているのですが、現実には現在に至るまで法務大臣による催告はいっさいなされておらず、また法務省はそのことを間接に明言しているのです。その結果、現実には二重国籍所持の日本人はゴマンと存在するのです。

それにしても、海外で二重国籍認容の署名運動がされていますが、残念ながら現時点では全くの夢物語かもしれません。その理由は、この署名運動は全般的に二重国籍の容認をの大前提(本当は海外在住日本人を念頭に置いているのですが、そのこと自体が明確化されていないので、日本に居る一部の人たちにとっては在日韓国人や中国人への日本国籍容認と短絡に考えて大反対なのですので、絶対に成立はしないのです。

したがって、この署名運動の内容を変更して、「本来の日本人が外国籍を取得しても日本国籍は失われない」との特例を認めてもらう署名運動に切り替えるほうがその実現性は高くなると思うのです。したがって、今後は海外在住日本人による二重国籍容認署名運動を「日本人の外国籍容認」運動に転向する必要があります。
さもないと、従来の重国籍容認署名運動は何年たっても実現の可能性はゼロになることを認識すべきかもしれない。

追加(2014 Sept)
2014/09/25(木) 23:27:53.16 ID:???0
 日本人の父とロシア人の母の間に生まれ、ロシアのパスポートを取得した子どもは、日本の国籍を失ったことになるのか―。国籍法の 規定に疑問を抱いた両親が「子どもが知らないうちに不利益を被る恐れがある」として、日本国籍を持ち続けていることの確認を求める訴訟を25日、東京地裁に起こした。

この訴訟はいろいろな問題を引き起こしかねないのです。現実には国籍法に違反して二重国籍を所有している人は海外にゴマンと居るからです。法務局もそのことは十分に承知しており、法的には違反になっても法務局はいままで絶対に動かなかったのです。しかし、このような裁判という公の場にこの問題が提起されると裁判所がどのような判定を下すのか。国籍法違反で処罰されることはまったくありえず、これを機会に国籍法の改正を提起できないものだろうか。

追加(2015 June)
最近になってスイスの大使館が在留邦人にたいして「外国籍を取得したときには日本の国籍は自動的に失われます」との通達を出しているのですが、これは極めて誤解を招く表現であり、さらには間接的にそのような二重国籍者に対してあなたは日本の国籍を捨てなさいと勧告しているようなもので極めて重大な越権行為でもあり、また間接的には日本人消滅運動をしているものと捉えられてもいたし方が無いのです。日本の国籍を自ら捨てたいと考える日本人は一人も居ないのです。とくに海外居住の日本人の国籍問題は日本国内ではほとんど誰も問題にしていないのです。イゃ、問題にしていないというよりは誰もそのような現実を知らないのです。

追記 (2016 July)
ある人から「国籍法の理解がかなり浅いですね。喪失と放棄、催告の話をまったくもってごっちゃにしています。こんな誤解を招く記事は載せないでいただきたい。もっと国籍法を熟読しましょう。国籍法だけでなく当然ですが戸籍法や施行令もね。知恵袋の方がよっぽど正確な事を書いてる人が多いです。レベルが低い」とのコメントが届きましたが、このコメントには肝心の海外在留日本人の旅券更新不可に伴う日本国籍への影響が無視されているのです。

「知恵袋」ではアメリカ国籍の所持者が日本の国籍をも共有できるような説明なのですが、日本に居る日本人には海外在住日本人の国籍問題には全く疎いのです。確かに、出生などで自動的に外国籍が与えられた人ではその国の国籍は放棄できないこともあるのですが、だからと言ってそのような人は日本国籍と外国籍とを共有できるので、重国籍者は問題なく存在すると理解しているのですが、問題はそのような外国籍を共有しているひとが日本の旅券を更新するときには基本的には更新できないのです。

この点が一番重要なのですが、コメントを書いた人や、「知恵袋」の回答者はこの問題には全く無関心なのです。つまり、いったん取得したアメリカの国籍は放棄できません、だから二重国籍者のままになって居ることになる、との短絡的な解説しかないのです。ここでこれらの人たちが忘れていることは海外に居住している日本人が日本人であるという根拠は旅券しかないのです。

ところがこの旅券は長くとも十年しか有効ではなく、十年後には改めて旅券の更新をしなくてはならないのですが、「知恵袋」やコメントした人は日本に居るので、旅券は全く必要としておらず、また「旅券の更新」という問題は考えていないのです。この旅券の更新は海外在住日本人の場合には必須なのですが、その手続きは海外の大使館、領事館でしてもらうのですが、そこでは外国籍を所持していると「ほとんど」の大使館、大使館員は日本の旅券の更新を国籍法11条に基ずいて拒絶するのです。そうなると、旅券がなくなれば、日本人ではなくなるという理解が日本に居住している人には理解できないのです。しかも、そのような人は日本に戸籍があるので、それは問題にはなりません、と考えるのです。

旅券がなくなれば、また新たに申請すればよいではないかと考えるのですが、旅券申請書には外国籍有無をチェックする項目があるのですが、海外居住者の場合には旅券更新を申請するときには必ず、その国での滞在許可書の提出を求められるのですが、その国の国籍を所持している人はそのような滞在許可書は必要ないので、すぐに外国籍を持っていることが判明して、旅券更新手続きを断られるのです。特にアメリカなどにはそのような「非」日本人がゴマンといるのです。

もっとも、「良心的な」大使館員は国籍法を無視して、旅券の更新をしてくれる人もいる場合もあるのですが、これは極めてまれで、例外なのです。なお、このような場合、その大使館員は国籍法を無視しているのですが、法務省はそのようなことには全く頬被りして、無関心なのです。例えばスイスにある日本大使館でも以前は日本の旅券の更新に際し、スイス国籍有無は全く問題にされず、自動的に旅券の更新がされていたのですが、旅券業務担当のフェルマン長川さんが2008年 4月に亡くなられてから、それ以降は外国籍有無のチェックがされるようになった経緯があります。


いずれにしてもこのような状況は日本に居て海外居住の経験もなく、ましてや旅券の更新を海外で常時しなければならない人は皆無なのです。このような状況を全く知らない人は旅券の更新、再発行を日本ですればよいではないかと短絡的に考えるかもしれませんが、それだけの目的で日本に一時帰国するとはかなりの負担になるのです。更に、仮にそのような目的で日本に一時帰国して日本で旅券更新申請しようとしてもその必要用紙には「外国籍の有無」のチェック項目があるのです。勿論、日本での申請の場合には正直にこのチェックにペケ印を付けずに申請することは出来るのです。

このような現状を全く知らない人には外国籍を放棄できない場合もあるので、そのような場合には二重国籍者になって居るのですとの解説しか「知恵袋」は出来ないのです。しかも、「知恵袋」の回答には海外居住日本人が海外で旅券の更新をすることにはいっさい触れていないのです。つまり、このようなコメントを書いた人とか「知恵袋」の回答者は海外居住日本人が日本の旅券を更新症とするとこの問題については全く関心がなく、いゃ、全く配慮できないのです。

追記(2016 Sept)

「外国人に重国籍を認めることに対する反対運動」などを推し進めている人たちは海外での生活の経験は全く無く、島国日本の典型的な島国国民なのです。しかも彼らの目的は日本に居住している中国人、朝鮮人のことしか考えていないのです。従って、これらの中国人、朝鮮人に二重国籍を与えたら、日本が乗っ取られてしまうとの妄想があるのです。つまり、もし二重国籍が容認されたらば、彼らが無条件で日本国籍をも取得できるとの理解なのです。現実はそんなものではなく、外国人が日本の国籍を取得する場合には審査があり、必ずしも全員が無条件で日本の国籍を取得できるのではないのですが、そのような理解は彼らには全くないのです(http://www28.atwiki.jp/nihonkaitaisoshi/  日本解体から日本を守る市民の会@ ウィキ)

さらに、最悪なのは海外在住日本人が外国籍を取得することは、その目的に以下のようなことがあると盲目的に信じているのです。
「重国籍とはデメリットが見当たらないから選択するのであって愛国心や郷土愛よりも単一国籍者よりメリットを享受したいという権益欲だと感じます。
また、重国籍には問題点も多々あります
・銀行口座の名義を複数持てるので資産を隠し易い
・重婚が隠しやすい、国をまたがった重婚罪が適用できるか?
・相続税の低い国を選択して相続
・海外でトラブルになったらどの国が守り交渉するか」

一方、海外で活躍している多くの日本人はまさに国際派日本人であり、将来的にも日本の国際化に何らかの形で貢献できる可能性を秘めているのです。このような海外日本人が、いろいろな視点から、外国籍を取得した場合には現在の国籍法では二重国籍が理論的には許されず、どちらかの国籍を強いられるのです。ですから、現在の国籍法が改正されない限り、日本で生まれ日本の国籍を有している子供が、父親の外国国籍を取得して問題視され、法廷に日本の国籍維持をもとめても法的な解釈ではそれは無理で、日本の国籍を失うことになるのです。つまり、現時点では多くの人は国籍法の存在を全く知らずに法廷闘争すれば必ず負けるのです。

追記(2018 Feb)
以下のようなサイトがありました。
参考までに。

https://srad.jp/comment/2693827

「2008年に南部陽一郎氏がノーベル物理学賞を取得した際にも同様の、重国籍解禁の議論が巻き起こりました。海外へのこれ以上の人材流出を防ぐためです。しかし、実現に向けて進んでいるように見えません。これは、重国籍が解禁されると、人材流出の防止以上に、37万人に及ぶ韓国・朝鮮籍を含む特別永住者を代表とする日本への帰化希望者の外国人に焦点が移るからと推測されます。人材流出防止を、重国籍解禁の狙いとするのであれば、
a)特別な才能を持っているもののみに、重国籍を認める

b)出生により日本国籍を有するもののみに、重国籍を認める

c)日本への帰化による日本国籍取得者には重国籍を認めない

で解決するはずです。しかし、「帰化すれば同じ日本人なのに権利を制限するな」という論調がでてくるのが予想されるのが日本なため、実現は厳しいと想定されます。」

2012年8月17日 (金)

「薬社会への処方箋」電子版

この本はかなり前(1997)に出版されていますので、内容的には陳腐な部分もありますが、残念ながら(?)中には今でも該当するようなものもかなり存在します。現在、この本は売れ切れで新本を購入することはできません。、
この本が出版されたときに雑誌「薬学図書館」1998, Vol.43, No.1 に書評が載っています。

 

目次
1 薬は商品である
2 雑貨店と化した日本の薬局
3 まだまだわかりにくい薬の説明書
4 「薬の本」のオンパレード
5 薬の副作用がおこったら
6 薬害はなぜなくならないか
7 日本の薬社会に自浄作用なし
8 薬社会と医師
9 医薬分業はなぜ進展しないか

 



 

 

 

 

 

医薬分業率の曲解:  なぜ処方箋を受け付けない薬局が存在するのか?

医薬分業率の曲解

医薬分業が日本で正式に実施されたのが1951年(医薬分業法)ですが、本来の分業とはすべての薬局で処方箋調剤が出来ることを意味しています。つまり、日本にあるすべての薬局で処方箋対応ができてはじめて医薬分業が100%達成されたことになります。ところが、日本では薬局と言ってもいろいろな種類があり、処方箋に対応できる薬局は保険薬局、調剤薬局であり、なんらの冠をつけていない普通の薬局では処方箋を受け付けないところもあります。

ところが、現在の医薬分業の成果を示す指標として院外処方率が取り上げられています。この院外処方率が65%であれば、それを以て医薬分業達成率が65%とされているのです。しかし、これは医薬分業の意味を取り違えていることになります。日本に存在するすべての薬局が一回でも処方箋調剤をしたことがある数が100%になって初めて医薬分業100%達成となるのですが、そのような計算方式は全くとられていません。つまり、全国のすべての薬局の何パセントが調剤業務を行っているのかという概念ではなく、文字通り、医療関係機関が処方箋を外部に出す割合は厳密な意味で分業率ではないのです。

つまり、日本の医薬分業率は「院外処方箋外出率」なのです。

現在の医薬分業率の計算の仕方
医薬分業率(%)=             薬局への処方せん枚数
                       ------------------------ x 100
                          外来処方件数(全体)    

さらに問題なのはこの院外処方率もいまだに100%になっていないのです。いゃ、むしろこの院外外出処方箋数は今後は段々減っていくでしょう。なぜならば最近は院内での処方調剤の効率性から院内調剤に移行する動きがあるからです。

おそらくこの数字が100%になることは今後も全く望めないでしょう。つまり、日本では医薬分業は絶対に100%にはならない考えられます。2012 は1951年から計算するとなんと60年以上も経過しているのですが、未だに60%台なのです。

最近の院外処方率の数字は以下のようになっています。
  2007 2008 2009 2010 2011
59.8% 59.3% 62.0% 62.8% 65.3%

この数字をみてどのように考えられるのでしょうか。過去五年間でもその達成上昇率は10%以下なのです。このような状態では今後いくら医薬分業が促進されても、100年が経過してもその院外処方率は100%にはならないでしょう。

つまり、仮に院外処方率が100%になっても門前薬局のようなところにそれらの処方箋が行き、郊外で細々と開局している非調剤薬局は分業とはまったく無関係なのです。

このような状態を改めて考えると、前日本薬剤師会長の石館守三氏が当時この分業法案が成立したときに全国薬局で一斉に引き受けるべきで、その医薬分業に対応できない薬局は淘汰されても致し方がないとのカウントダウン方式を提唱したが、当時の薬剤師会の幹部に総スカンされ、その実施には至らなかったのです。そのつけがいまだに引き継がれているわけです。石館氏は元国立衛生試験所長から日本薬剤師会長に迎えられたのですが、旧態依然とした薬剤師会の反対にあったわけです。当時の薬局のご主人たちにはとても受け入れられない新方式だったわけです。

追加(2014 June)
最近のデ-タでは院外処方率は70.2%となっていて医薬分業の進展が伺われる、と報道されています。

追加(2015 June)
最近の報道では、2014年度の医薬分業率が68.7%(前年度より1.7ポイント増)であったことをお伝えした(詳細は2014年度の医薬分業率は68.7%)。医薬分業が1974年にスタートしてから40年。分業率はいよいよその上限と言われている70%に近付こうとしている、となっています。

追記(2016 June)
ある人から指摘を受けたのですが、日本では薬局である限り調剤を引き受けなければならず、調剤を引き受けない一般薬局は存在しないとのことです。
でも現実には郊外とか地方の一部には保険薬局の看板を掲げていない薬局もあるのです。調剤を引き受けるが保険調剤はうけないという薬局はあるのでしょうか。さらにね日本保険薬局協会があるのはなぜなのでしょうか。このことは保険薬局ではない薬局が存在することではないでしょうか。

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