くすり教育学会の設立
くすり教育学会の設立
最近の新聞報道によると原発汚染の福島で放射能についての学生の関心が高まり、日本環境教育学会の協力で、放射能についての勉強が学校に導入されるようになっているとのことです。もっとも、そのほかにも日本エネルギ-環境教育学会と紛らわしい名前の学会もありますがその目的は多少異なるようです。
それと似たような発想で、日本くすり教育学会を設立してはどうでしょうか。最近では小学校、中学校での「くすり教育」がすこしずつ導入されつつありますが、なかなか十分な進展が見られません。小さい時から薬の本質、薬害などの教育を受けていれば薬に対する考え方も違ってくるかも知れません。2008年3月に改訂された中学校の学習指導要領では、「医薬品の正しい使い方教育」が盛り込まれ、やっと2012年度から保健体育の中での授業で行われるとのことです。
医薬品治療に際し、患者指向の医療とか患者の医療への参加とか患者による副作用の報告などが話題になるような状況はまさに学生の時からのくすり教育の重要性を認めることになります。
一般社会では、薬を理解して正しく使うことが求められてきてはいるが、義務教育の中で「医薬品の正しい使い方」の授業が実施されるのは今回が初めての試みとなる。このように最近では患者と医薬品との関連性に関してのいろいろな動きが見られますが、一般レベルでの薬に関する知識はいまだかなり低いことです。自分が服用している薬のことに全く、関心、理解が無く、それぞれの薬がどのような目的で処方されているのかは全く知ろうともしない人も多いのです。場合によっては錠剤が極めて小さいので、効き目も弱いと考える人もいるくらいです。このような一般的な傾向を知ったら、とても患者から直接に薬の副作用報告を期待すること自体に無理があります。
一般社会では、薬を理解して正しく使うことが求められてはいるものの、義務教育の中で「医薬品の正しい使い方」の授業が実施されるのはこれが初めての試みとなります。現在でも一部の地区では小学校でもくすり教育が自発的に行われています。たとえば大阪府薬剤師会では、07年度から大阪市内の小学6年生を対象に、学校薬剤師が「おくすり講座」を実施している。小学校での医薬品に関する指導は学習指導要領に盛り込まれていないものの、教育委員会や校長会の了承を取り付けて開かれている。また、高校の学習指導要領には既に「薬の適正使用」が盛り込まれているため、講座は小・中・高と継続したくすり教育を目的としている。この講座は、初年度は14校のみの開催だったが、現在では大阪市内297校のうち230校にまで増加している。
したがって、現在の任意で、しかも関心がある場合に限られた学校での薬教育が近い将来すべての学校で義務的に推進されるようになれば、くすり教育学会の設立も必要になるのではないか。
このような学校でのくすり教育は行政の立場からではなく、実際の医療の現場、また各家庭の実情をも加味した教育にするためにも「日本くすり教育学会」のような三者的な立場からの意見も吸い上げるようなことも大切になります。